日本の間取りについての、アメリカ人のジョンさんとの話から。
も15年以上昔の話なんですが、私とジョンさんは同じ事務所で、
外人住宅の設計をしていました。
部屋の大きさを決めるのに、メートルやフィートで話すとややこしいので、
「○○帖ぐらい」と言うと、ジョンさんは少し考えてから解ったようです。
“○○帖”という話は事務所の所長ともするし、グループ企業内の他の社員とも、
帖数で話をして、その空間サイズはお互いに理解します。
ジョンさんが言うには、「日本人はみんな、帖数で空間の広さを共通認識している。
6帖と言えばだれでも、ああ6帖かと解る。これは凄いことだ!」との事。
ジョンさん自身、日本のマンションに住んでいるので、
自宅の和室の畳の枚数から、部屋の大きさを思い浮かべたのでしょう。
ただ、自宅と奥さんの実家とでは畳の大きさが違うので、
どっちが正しいのかと聞かれましたが、どっちも正しいとしか答えられませんでした。
住宅(建築)の場合の部屋の大きさを決めるのに、モジュールと言う概念を利用します。
基準となる基本寸法単位を予め決めておき、その単位(モジュール)に従って、
大きさを決めていきます。
日本では昔から尺という寸法が使われていて、畳1枚のサイズが、
3尺x6尺(910mm x1,820mm)であることから、910mmを基本とする“尺モジュール”が使われます。
しかしこれは新間とか江戸間と呼ばれる畳のサイズを基にしていて、京間や関西間など、
少し大きい畳の旧間というのが存在し、淡路島では今でも使われています。
また、団地間と呼ばれる少し小さい畳も使われていますので、本当は何帖だけでは広さは解らないです。
「6帖やけどマンションやねん。」「ほなちょっと狭いなぁ。」
こんな感じで、大体の空間イメージは伝わっているのでしょうけど。
ジョンさんの場合はこれらを無視したマンションのオリジナルの畳サイズかもしれません。
淡路島では旧間(985mm)に近いこともあって、“メーターモジュール(1,000mm)”をおすすめしています。
最近では住宅メーカーやフランチャイズ系ビルダーが多く採用しています。
海外では北米の1,218mm(4フィート)や、ヨーロッパやオセアニアでは1,200mmが使われているようです。
そして、このモジュールを基にグリッドを引き、そのマス目を利用して間取りを作ることで、
プランニングがやりやすくなります。
これらの寸法に合わせて建材の寸法も決められるわけですが、
日本の場合は壁心から壁心で寸法を取るので、建材寸法は壁の厚みだけロスが出たりします。
日本(少なくとも阪神間)での外人住宅(不動産で言う)は1,200mmモジュール(壁心)を使い、在来工法で建てます。
参考プランをご紹介します。
モジュールという単位にしたがってグリッドを決め、
そのマス目の大きさで広さを決めながら、間取りを作っていく。
それだけなら、設計者でなくても、誰でもできることです。
実際にやってみると、面白くて楽しいと思います。
A4サイズの910mmのグリッドシートを上げておきます。
印刷して使ってみてください。
A4_910mmグリッドシートにほんブログ村