2016年01月24日

集成材

集成材は、ラミナと呼ばれる板材を張り合せることで材に厚みを持たせ、
部材寸法を確保する木質材料です。
たとえば柱なら5枚(4枚や6枚もある)の板を張り合せて、柱の断面と同じ寸法にします。
梁に関しては背が高くなるので張り合せる枚数が増え、
長さが必要な場合には、フィンガージョイントで板を縦に接いだものを張り合せます。
集成材は無垢材の「反る・割れる・狂う」などの欠点を貼合わせにより補完し、
欠点の少ない木質構造材として重宝されます。
作る手間はかかるのですが、原材料が安いため、
木質構造材としては無垢材に比べてリーズナブルな建材となっています。
また、木材資源を有効に活用するのでエコだとも言われてるようです。
当社では構造材に集成材は、基本的には使用しませんが、
否定しているわけではないので、ご希望があれば集成材に対応します。


集成材.jpg
集成材は同じ厚みの板材を張り合せ、目的の断面サイズにします。



集成材2.jpg
フィンガージョイントという、木材の接続方法です。
梁材は距離が長くなると、縦につないだ材を使います。

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2016年01月21日

木質ラーメン構造

前に2x4と在来木造軸組工法の説明をしましたが、
最近は木質ラーメン構造というものが出てきています。
“ラーメン構造”は一般には聞きなれない言葉だと思いますが、
鉄骨造などに見られる、強くて太い柱や梁で骨組みを造る構造です。
木質ラーメン構造は、鉄骨造の鉄を木に置換えたと思えば解り易いでしょうか。
非常に強く、広い空間を作ることが出来ますが、とても高価です。
また、木質といっても無垢材では駄目で、殆どが集成材です。
精度が求められるので、狂わない集成材でないとダメのようです。
お寺など歴史建造物の大規模木造建築物のような、
部材が太い無垢材の軸組工法とはまた違うものです。

cube-07.jpg
軸組の部材を太くすると、頑丈になる...ように見える。

cube-08.jpg
単純に2倍に拡大すると、部材の太さが2倍(断面は4倍)になり、
距離も2倍、容積は8倍になる。
posted by らいあ at 10:21| Comment(0) | 建築 | 更新情報をチェックする

2016年01月07日

2x4と在来軸組工法

ある計画で2x4構造を検討することになって、もう十何年も関わっていないので、
2x4って今はどうなのかなとネット検索してみたのですが、
構造の特徴や説明などの表現が、昔とあまり変わってないようです。
在来木造軸組構造に比べて「地震に強い」「火災に強い」「気密性が高い」など、
在来木造軸組構造よりも優れているような表現が多くみられました。
確かに、昔は木造軸組というと、柱と梁で組み立てられた「骨組み」でした。
それを例に、面構造である2x4の方が強いように見える比較の絵をよく見かけます。
ですが、それは昔の話であって、在来木造軸組工法はかなり進化しているので、
筋違や構造金物をしっかり使えばつぶれてしまうようなことはありませんし、
外周部に構造用合板を使えば、2x4と同じ面構造も併せ持つ、
より耐震性の高い建物にすることができます。
これは2x4の合理的な考え方を取入れ在来工法の耐震性を高めたわけですが、
「いいとこ取り」と考えていいのか、合板に頼ってしまって「伝統工法で無い」
とみるべきか、いろいろ考えてしまします。
ようはバランスなんですが。

cube-01.jpg
よく見かける2x4と在来軸組み工法の比較図

cube-03.jpg
力が加わると、在来軸組工法は変形しますよという説明。

cube-04.jpg
在来軸組工法に面構造を加えると、もっと強いんじゃない?という絵

posted by らいあ at 11:11| Comment(0) | 建築 | 更新情報をチェックする

2012年01月03日

モジュールとグリッド


日本の間取りについての、アメリカ人のジョンさんとの話から。
も15年以上昔の話なんですが、私とジョンさんは同じ事務所で、
外人住宅の設計をしていました。
部屋の大きさを決めるのに、メートルやフィートで話すとややこしいので、
「○○帖ぐらい」と言うと、ジョンさんは少し考えてから解ったようです。
“○○帖”という話は事務所の所長ともするし、グループ企業内の他の社員とも、
帖数で話をして、その空間サイズはお互いに理解します。
ジョンさんが言うには、「日本人はみんな、帖数で空間の広さを共通認識している。
6帖と言えばだれでも、ああ6帖かと解る。これは凄いことだ!」との事。
ジョンさん自身、日本のマンションに住んでいるので、
自宅の和室の畳の枚数から、部屋の大きさを思い浮かべたのでしょう。
ただ、自宅と奥さんの実家とでは畳の大きさが違うので、
どっちが正しいのかと聞かれましたが、どっちも正しいとしか答えられませんでした。

住宅(建築)の場合の部屋の大きさを決めるのに、モジュールと言う概念を利用します。
基準となる基本寸法単位を予め決めておき、その単位(モジュール)に従って、
大きさを決めていきます。
日本では昔から尺という寸法が使われていて、畳1枚のサイズが、
3尺x6尺(910mm x1,820mm)であることから、910mmを基本とする“尺モジュール”が使われます。
しかしこれは新間とか江戸間と呼ばれる畳のサイズを基にしていて、京間や関西間など、
少し大きい畳の旧間というのが存在し、淡路島では今でも使われています。
また、団地間と呼ばれる少し小さい畳も使われていますので、本当は何帖だけでは広さは解らないです。
「6帖やけどマンションやねん。」「ほなちょっと狭いなぁ。」
こんな感じで、大体の空間イメージは伝わっているのでしょうけど。
ジョンさんの場合はこれらを無視したマンションのオリジナルの畳サイズかもしれません。
淡路島では旧間(985mm)に近いこともあって、“メーターモジュール(1,000mm)”をおすすめしています。
最近では住宅メーカーやフランチャイズ系ビルダーが多く採用しています。
海外では北米の1,218mm(4フィート)や、ヨーロッパやオセアニアでは1,200mmが使われているようです。
そして、このモジュールを基にグリッドを引き、そのマス目を利用して間取りを作ることで、
プランニングがやりやすくなります。
これらの寸法に合わせて建材の寸法も決められるわけですが、
日本の場合は壁心から壁心で寸法を取るので、建材寸法は壁の厚みだけロスが出たりします。

日本(少なくとも阪神間)での外人住宅(不動産で言う)は1,200mmモジュール(壁心)を使い、在来工法で建てます。
参考プランをご紹介します。


外人住宅参考1F外人住宅参考2F

モジュールという単位にしたがってグリッドを決め、
そのマス目の大きさで広さを決めながら、間取りを作っていく。
それだけなら、設計者でなくても、誰でもできることです。
実際にやってみると、面白くて楽しいと思います。
A4サイズの910mmのグリッドシートを上げておきます。
印刷して使ってみてください。

A4_910mmグリッドシート

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posted by らいあ at 10:49| Comment(0) | 建築 | 更新情報をチェックする

2011年12月12日

ウィリアム・メレル・ヴォーリズ

ウィリアム・メレル・ヴォーリズ
この建築家の事を知りませんでした。
ずっと良いなと思っていた建物が、この人が手掛けたものだったんだと、
今やっと解った次第です。
西宮市に長く住んでいたので、上ヶ原の関学・神戸女学院・聖和女子大学の
近くを通っては、こんな設計は誰がするんだろうと、ずっと気にはなってたけど、
当時はインターネットで何でもかんでも調べられる時代じゃないし、
著名な建築家の作品というイメージではなく、地味な感じがしました。
とはいっても、あの何とも言えない品格と優しさ、シンプルで美しい心和む建築。
あんな建築物を設計したり工事に携わったりする日が来るんだろうかと、
建築の勉強をやってた頃の思い出がよみがえってきます。
兵庫ヘリテージマネージャーの研修で、近代建築の講義の中で、
このウィリアム・メレル・ヴォーリズの紹介を聞いて、ちょっと感激しました。
建築の作例もさることながら、ヴォーリズ事務所がいかにしてメンテナンスに携わってきたか、
建てるだけで終わらない建築とのかかわり、その価値観を改めて考えさせられました。
エッセイストの阿川佐知子さんは、母校の東洋女学院の建替えを機にヴォーリズの功績を知り、
全国のヴォーリズ建築物の保存活動をされています。
「優しく懐かしく、自らの主張を滅し、そこに住む人間の気持ちを何よりも大事に考えた
心ある建築家の信念が、建物の隅々まで浸透している。」
とコメントされていますが、まさにその通りだと思います。
自分もそういう感覚に少しでも近づけたらと思いますが、反省の方が多いですかね。
長くなるので、最後に講義で紹介されたヴォーリズの言葉を紹介します。

「住宅なるものは、その元来の目的は、住居するためのものなりとの見解を持つべきである。
同じ解釈により、つぎのことが云える。即ち、学校とは教育的計画を収容する特別の機関であり、
病院は、病人を治療するために、病人の自然的恢復力と共働せんとする機械であり、
商店建築は、商取引の能率のあがる中心的建物である。
それ故に此れ等の各種の建築物は、建築技師の自分勝手な好奇心や、空想を以って、形造る枠組み、
又は、自家宣伝用の広告塔、更らに、街頭の通行人を驚嘆させるための博物館向の作品のように心得て、
建築設計に当ることは、将来在る建築技師の欲せざるところである。
建築物の品格は、人間の人格の如く、その外装よりも寧ろ内容にある。・・・」
[ヴォーリズ建築事務所作品集 序文より]
ラベル:建築について
posted by らいあ at 09:29| Comment(0) | 建築 | 更新情報をチェックする